職人の道具図鑑 NO.8
ピンセット
小さな物を掴む時、指ではなかなか上手く行かずに苦労した経験が、誰にでもあるかと思います。ジュエリーに使う宝石や小さなパーツは、ほとんどの物が指で掴むのが難しくピンセットを使っての仕事となります。熟練の職人は、この第三の手とも言うべきピンセットを上手に使いこなし、美しいジュエリーを仕上げております。
ピンセットはフランス語で、英語ではツイーザーといいます。
右の写真のようにジュエリーの加工に使う時には小さなパーツを掴むだけではなく、火を使った作業にも活躍をします。
大きいサイズのピンセットは対象をしっかりと掴んで固定するのに適しており、口先が細くとがったタイプは細かいものをつまんで組み合わせるのに適します。
他の工具でもそうなのですが、このピンセットも物が掴みやすいように、職人自ら口先を削ったりして形を整え使用します。
長く使われているピンセットは、加工を繰り返すうちにどんどん短くなってゆくため、長さによって用途が変わっていくのも面白いところ。
その場その場で形の異るピンセットを上手に使い分けて加工を行うため、職人の机にはたくさんの種類が備えられています。
一方、宝石に使用するものは、掴みやすいように口先に荒らしがされているものや、柔らかい宝石を傷つけないように竹でできた物等もあります。
どんな用途で使う場合にも言えることですが、細かいものを掴む道具のため、ピンセットの口先の上下がぴったりと綺麗に噛み合うことがとても大切。
手入れの届いたピンセットは本当に使いやすく、職人の仕事の質を上げるのです。
(様々な形状のピンセット)