umu -アム- FINE JUEWELRY STUIDIO

職人の道具図鑑 NO.1

すり板

ひとつひとつの形には理由がある
職人の仕事はすり板の形をつくることから始まります

例えば指輪をけずって整えたり、磨きをかけたり。職人の仕事のほとんどはこの「すり板」の上で行われます。細かい仕事を正確に行えるかどうかはこの道具の形で決まると言い切ってしまっても大げさではない程、重要な道具なのです。

通常は幅8cm程度の長い板を、かすがいと呼ばれるタンスの取手状の金具にくさび(あて木)を使って固定します。

すり板は加工するジュエリーの形に合せて、ヤスリやノコギリを使って形状を変えて使うのですが、大切なことは加工するジュエリーがしっかりと安定すること。

例えば小さなピアスを加工する場合、指先だけで支えても安定せずにうまく加工ができません。

そんな時、このすり板にピアスがぴったりと収まるように形をつくって固定して加工を行うのです。

また、糸ノコでパーツを切り出す場合は、すり板に切り込みを入れた部分を使って刃を動かすととても安定して、スムーズに加工ができます。

ジュエリーを直接加工する道具の扱いはもちろんですが、熟練の職人ほどこのすり板を上手に使って仕事をします。

すり板の形状は使う職人によって異なります。ながく修行を重ねた職人のすり板ほど、短くて特異な形をしています。

使い込まれたすり板を見ると、そこに職人の生き様が刻み込まれているのだと感じました。

(職人のすり板を並べてみました)