ジュエリーという一つのものを生み出すために、何年もかけて技術を磨きつづける職人がいます。何千、何万と素材を形にし命を吹き込んできたその手からは、今日もまた新しいジュエリーが生まれ、身に着ける人の感情をゆり動かすのです。
この「ジュエリーが生まれるまで」のコンテンツではアムのジュエリーが生まれるまでをご紹介致します。普段あまり見ることのできない、工房の裏側をどうかご覧くださいませ。
石留めから仕上げ、ジュエリーに命がやどります。
石留めは高度な技術を習得した熟練の職人だけに許される特別な工程。ジュエリーのなかでメインに座る宝石がより美しく見えるように留めるためには職人の腕が問われます。
「宝石と呼吸をあわせる。」
石留めに用いる道具は地金の加工が可能な、硬く研ぎ澄まされたものばかりです。それらの道具をまるで赤ちゃんに触れるように優しく扱い、繊細な宝石を傷つけること無く留めていくのです。
【石出し】
仕上げた空枠にセッティングする宝石をセレクトします。
石出しは非常に細かく繊細な作業のため、ルーペとピンセットを使って行います。
1つ1つの宝石を丁寧にチェックして、ご注文のジュエリーにお付けする宝石を選びます。
コンテンツの「ダイヤに対する考えかた」でも触れておりますが、アムのダイヤモンドは輝きを重視してセレクトしています。
【石留め】
まずジュエリーをヤニ台に固定する「ヤニ付け」から始まります。
ヤニをバーナーで炙り、加工ができる柔らかさになったらジュエリーをはさみ込み、熱をとって固めます。
こうすることで、小さく動きやすいジュエリーが固定され、タガネや金鎚を使っての石留めも可能になります。
次に石枠に実際に宝石を乗せてみて、おさまり具合を見ます。
きれいに宝石がおさまっていない場合は、ここで石枠を加工して宝石に合わせる「石合わせ」をおこないます。
石座に宝石が綺麗におさまっていることが、石留めの完成度を上げるため、とても重要な工程です。
石合わせが終わると、石留めをします。
石留めには玉ぐり(魚々子)やヤットコ、槌の頭部分が小さなおたふく槌などを用います。
振動で石が踊らないようにワセリンを使い、石枠に石を貼り付けながら1本1本丁寧に爪を倒していきます。
宝石の硬度はその石によって異なるため、宝石と呼吸を合わせることができる、熟練の職人だけが石留めをすることが許されるのです。
石留めが終わると、金槌でたたいてヤニを割りジュエリーを取り出します。
石留めによって荒れた爪の部分をリューターなどを使って丁寧に整えます。
バリがある場合はカッターなども使い石留めの淵を綺麗にします。
光穴などの細かいところに入り込んだヤニを落とすために、石留めをしたジュエリーはトルエンにつけヤニを溶かし、洗浄します。
【最終仕上げ】
石留めの終わったジュエリーの最終仕上げをします。
職人の厳しい目で外観をチェックしながら、石留めをした部分を中心に仕上げます。
フェルトや布などの柔らかいリューターポイントを使い細部を磨いた後、バフをかけ洗浄機にかけます。
これが最終の磨きとなるため、この時に指輪のサイズ、宝石の留まり具合、フォルムなども確認します。
【刻印】
仕上がったジュエリーに刻印を打ちます。
金属に彫り込まれた刻印をハンマー等で叩いて入れるのが一般的ですが、適度な力でバランスよく真っ直ぐに刻印を入れるのは非常に難しく品質のよいジュエリーほど、この刻印が綺麗に打たれています。
アムでは基本的に地金を証明する刻印、ダイヤモンドの石目、アムのロゴマークを刻印しています。
絵画におけるサインのように、心をこめて丁寧に仕上げたジュエリーが本物であることを証明するために、とても重要な役割をもっているのがこの刻印なのです。
【検品】
すべての工程を終え仕上がってきたジュエリーを検品します。
まず外観をチェックしてジュエリーがバランスよく仕上がっているかを確認します。
続いてサイズの確認、留めた宝石に揺れがないか、傷やカンがないか、仕上げ残しや洗浄が甘い部分がないか、バフの毛が爪に挟まっていないか等を細かくチェックしていきます。
アムでは仕上がった時点で職人の目で検品を行い、梱包前に検品担当の目でもう一度検品を行います。
2人の別の人間の目で見ることによって、万が一、不備のある商品が検品を通ってしまっても、気づくことができるよう工夫をしています。
また検品の時点で何か問題が発見された場合につきましては、お客様にはたいへんお待たせしてしまう形となるのですが、お時間を頂いて工程を戻って作り直し、自信をもってお届けできる商品を発送しております。
この「ジュエリーが生まれるまで」でご紹介している写真を見ていると、たくさんのひとの「手」が写っていることにお気づきになるかと思います。
1本のジュエリーを仕上げるために、技術を習得したたくさんの「手」に渡り、それぞれが納得のいく仕事のできたものだけを次のひとの手へと渡します。
こうして自然から生まれた貴重な素材に命が宿っていくのです。